矯正歯科
矯正治療は、「不揃いな歯並び」「悪い噛み合わせ」に対し、ワイヤーなどにより人工的な力を加えることで歯を本来の位置に移動させ、人が持つ美しい歯並びや噛み合わせに整える治療です。歯並びや噛み合わせが良くなることで、お口の機能改善が得られ、よりいっそう健康になります。
逆に歯並びが悪いことによる精神的・心因的な負担は想像以上に大きいものがあります。面と向かって話しができなくなるなど、人とコミュニケーションを取ることさえも困難になってきます。
機能的にも、うまく噛めない(咀嚼機能障害)ので、食べ物を上手に噛み砕くことができなくなると消化不良を起こして、胃や腸に負担がかかることにもなります。歯磨きもしにくく、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。
このようなことからも、早期に矯正治療を行うことが全身の健康に繋がるのです。
矯正歯科治療へのコンセプト
患者様が本来持つ歯並びへの改善
矯正治療は、幼児期の矯正と成人矯正に分けられます。
小児の矯正は、主として咬合誘導が中心で、成人矯正をできるだけ回避するために早い時期から治療が始まります。
一方、成人矯正では、永久歯に生え変わった頃からが治療開始となります。
歯を動かすこと自体、年齢はあまり関係ありません。つまり、矯正歯科治療は、何歳からでも始められるのです。
矯正治療は、単に歯並びの改善にとどまらず、顎関節症の治療や、インプラントの骨造成、歯牙移植・再植にも応用されています。
歯はどのようなメカニズムで動くのでしょうか?
歯が動く原理は、歯をとりまく歯周組織と深く関係しています。
歯は歯槽骨に植立しています。この骨は歯根膜のあるところに存在し、常に再生をしています。
歯を動かそうとするとこれらの歯周組織に対して力が作用し、歯の動く方向(圧迫側)では圧迫され狭められた歯根膜の範囲を広げるよう歯槽骨の「吸収」が起こります。その反対側(牽引側)では広げられた間隔を狭めるために新しい骨を作る「添加」が起こり、それぞれが元の幅に戻ろうとします。
このように、矯正治療は一定の幅を保つ作用である「吸収」と「添加」を利用して歯を移動させます。
歯に弱い力を持続的に加えることで歯は動き、その結果歯並びは良くなり、噛み合せも改善されていくのです。
より効率的に歯を動かすために
歯を動かすためには、弱い力で持続的な力を加え続けなければなりませんが、そのためには安定した固定源が必要です。
従来であれば、ヘッドギアやチンキャップ等の顎外にそれを求めた大掛かりな装置が必要でしたが、当歯科医院ではそれらに代わるものとして「マイクロインプラント」を活用しています。
マイクロインプラントを導入した「インプラント矯正」をすることで、治療期間も大幅に短縮されました。
当院の矯正治療
患者様に適した矯正方法を選択します。
ブラケット矯正 スタンダードエッジワイズテクニック
たばた歯科の矯正治療の基本は「スタンダードエッジワイズ法」というテクニックを用いています。
患者さんによって異なる歯の凹凸、生え方に合わせて、1本1本ワイヤーの角度をきめ細かく調整していきます。歯並びにワイヤーを沿わせることで、より効率的で正確な歯の移動が可能です。
精密な調整技術が必要とされますので、導入していない歯科医院もあるくらいです。いわゆる、オーダーメイドの矯正治療と言えます。
また、歯並びの状態によっては「MEAW(マルチループアーチワイヤー)」といったベンディングワイヤーを活用しています。
このワイヤーには、歯の本数に合わせて輪の形に曲げられた「ループ」が多数あり、歯の傾きやねじれなどに沿ってそのループを曲げて力を調整することができます。
ブラケット矯正 ストレートワイヤーテクニック
ストレートワイヤー法は、スタンダードエッジワイズ法を元にしたテクニックで、ブラケットに歯の傾斜度や歯の厚みなど、平均的な情報を組み込むことで、効率化を高めた矯正治療法です。
診療時間、治療期間ともに患者さんの負担を大きく減らすことができます。
インプラント矯正
インプラントを応用した矯正治療です。
数ミリの小さなネジ(マイクロインプラント)を歯茎の上から歯槽骨に打ち込み、歯を移動させる「固定源」として利用します。
これにより他の歯への影響を抑えつつアンカレッジコントロール(歯を移動させるための力の調整)が容易にできるようになりました。
治療期間も大幅に短縮することができます。
治療が終わった際にはインプラントを取り外しますが、傷も残らず負担の少ない治療法です。
マウスピース型フレーム
取り外しのできる装置(可撤装置)としては、マウスピース型フレームによる前歯部の小矯正(部分矯正)を行います。この装置は、前歯部の数本の歯並びを改善し、「ホワイトニング(歯の漂白)」も行うことができます。これは透明な装置になりますので装着していてもほとんど目立ちません。また、総合的な審美性の向上を実現します。
小矯正(MTM矯正)
MTM矯正は、歯列全体の矯正ではなく、数本の歯を動かす矯正治療です。
埋まっている歯を引っ張り出す(挺出)、歯の位置を移動させる(歯体移動)、斜めに生えた歯を真っ直ぐにする(整直)、歯を回転させたりするなどの治療を行います。インプラント治療や審美補綴治療の際に行うことがあります。
他の治療の妨げになってしまうなど、治療後に問題が残る恐れがある場合に行う矯正治療です。
矯正の治療期間
歯並びを安定させる期間が必要です。
治療期間と保定期間
一般的な治療期間は2年程度ですが、おおよそ2年前後の個人差があります。
しかしながら、年齢を重ねるごとに歯は動きにくくなってきますので、お悩みの方は早期の治療をお勧めします。
保定期間とは顎の骨が固まり歯並びや噛み合わせを安定させる期間のことで、保定装置をお口に装着して矯正治療後の状態を保ちます。矯正治療においてこの時期がもっとも大切とも言えます。最良の結果を得るためにも適切な保定期間を過ごしましょう。
◎子供の場合
お子さんの成長を見極めたうえで、状態や状況に合わせた治療を行っていきます。
顎の成長に問題が出そうな場合、早めに第1期治療(顎の矯正治療)を行ないます。その後、永久歯へ生え変わりが始まってから、第2期治療(歯の矯正)を始めていきます。
「最適な時期はいつ?」と聞かれることがありますが、様々な状況を考慮したうえでご相談しながら決めていくことになります。
「おかなしいな?」と思ったらまずはご相談ください。最適な時期を見極めた上で、質の高い治療を行っていきたいと考えております。
◎大人の場合
大人の方の場合、顎や歯の状態が既に安定していますので、基本的にはいつでも可能です。
しかしながら、年齢を重ねるごとに歯は動きにくくなってきますので、お悩みの方は早期の治療をお勧めします。
矯正治療が必要な不正咬合
歯並びは見た目だけでなく全身にも影響します。
不揃いな歯並び・噛み合わせ
出っ歯・上顎前突
上の前歯が極端に前に出ている状態。
日本人に比較的多くみられる症状です。
反対咬合(下顎前突)
下の前歯が上の前歯より前に出ている状態。
受け口ともいい、横顔がしゃくれたように見えたりします。
すきっ歯・空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の隙間が開いていて、食べ物がはさまりやすく隙間が目立ちます。
乱ぐい・叢生(そうせい)・八重歯
歯が重なり合い凸凹の状態。
歯磨きしにくく虫歯や歯周病へのリスクが大きい歯並びです。
開咬(かいこう)
前歯を閉じても噛み合わず隙間があいてしまう状態。
食べ物によっては噛み切れないこともあります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が下の歯に深くかぶさっている状態。
顔が短く見え、歯の接触で大きく損傷してしまうこともあります。
交叉咬合(こうさこうごう)
歯の噛み合わせが部分的に反対になってしまっている状態。
顔が歪んだり(非対称)、食いしばりができない方もいます。